Zoë Schiffer著「Extremely Hardcore: Inside Elon Musk’s Twitter」

Extremely Hardcore

Zoë Schiffer著「Extremely Hardcore: Inside Elon Musk’s Twitter

シリコンバレーを追ってきたジャーナリストが、イーロン・マスクがツイッター買収を思いつき実行に移してから現在までの、リアルタイムで経験していなければ信じ難いほどのゴタゴタをまとめた本。多数の裁判資料や元従業員らのインタビューなどから構成されている。

同じテーマについては数ヶ月前にBen Mezrichによる「Breaking Twitter: Elon Musk and the Most Controversial Corporate Takeover in History」も出版されているけれど、そちらは読み始めたところドラマ仕立てっぽい部分が気になって読むのをやめてしまった。それよりさらに数ヶ月前にはWalter Isaacsonによるマスクの伝記「Elon Musk」も出版されているけど、あんまり分厚いし嫌な気分になりそうなのでこちらはダウンロードしただけで読む気が起きなかった。で、本書なんだけれども、シリコンバレーにおける労働問題やテクノロジーと民主主義の関係について取り上げてきたジャーナリストによる著作ということで、いろいろ安心して読めた。

とはいえ実際読んでみたら、リアルタイムで目撃して唖然としたエピソードの連続で、思ったよりも新たに学んだことはなかった。効果的利他主義の倫理哲学者ウィリアム・マカスキルがツイッター買収のパートナーとしてイーロンにサム・バンクマン=フリードを紹介したけど胡散臭いから結局イーロンはSBFとは組まなかったというエピソードは初耳だったけど(たぶんイーロン伝記とかには書かれているんだろう)、他人のことを胡散臭いとか言える立場だと思ってるんだね、イーロン。

とにかくイーロンによるツイッター買収以降の無茶苦茶なあれこれを従業員やユーザの視点から丁寧にまとめてあり、優れた記録。