Mark Kurlansky著「The Core of an Onion: Peeling the Rarest Common Food—Featuring More Than 100 Historical Recipes」

The Core of an Onion

Mark Kurlansky著「The Core of an Onion: Peeling the Rarest Common Food—Featuring More Than 100 Historical Recipes

さまざまな食材をテーマにした本を出しているフードライターによる、タマネギについての本。普段あんまりメインを張る食材ではないけど、タマネギはキャベツと並んでわたしが好きな野菜なので興味深く読んだ。

前半はタマネギが生物学的にほかの野菜や植物とどういう関係にあるのかという話から、どうしてタマネギを切ると涙が出るのかとか、多種多様なタマネギやその親戚が世界中でどう食べられてきたかという歴史的な話など。タマネギが媚薬として扱われたり、タマネギを食べたら息が臭くなるからと不浄とされたり低い階級の人の食べ物だとされた歴史があったりみたいな。あと当然、食材や食文化の歴史には植民地主義の話がついて回るけど、それほど深くは踏み込まれていない。

後半はタマネギがスープになったり揚げられたりほんとうにいろいろな調理法で食べられているということをヨーロッパやアジア(中国、インド、日本)、南北アメリカ大陸から100を超える(とサブタイトルに書かれてある、数えてないけど)古典的なレシピ(19世紀のレシピ本からの引用が多い)を紹介している。日本ではタマネギの仲間をピクルスにしたラッキョウというモノがカレーライスと一緒に食べられている、みたいな話も。タマネギプディングとかタマネギパイみたいにちょっとピンとこないレシピもあるけど、おいしそうなのもいろいろ。試してみたいアイディアをもらった。

いつもの読書の傾向と比べて、なんでこんな本を突然読んだんだと思われるかもだけど、実を言うとXi Van Fleet著「Mao’s America: A Survivor’s Warning」を読んでちょっとキツかったからお口直しに甘いタマネギを生で齧ってみたくなったというのが正直なところ。ちなみにわたしはずっと以前から、いつかワシントン州ワラワラで開かれているワラワラ・スウィートオニオン・フェスティバルに行ってみたいとあこがれているのだけど、この本を読んでジョージア州ヴィダリアのヴィダリア・オニオン・フェスティバルがリストに加わった(だからどうした)。