Sachin Khajuria著「Two and Twenty: How the Masters of Private Equity Always Win」

Two and Twenty

Sachin Khajuria著「Two and Twenty: How the Masters of Private Equity Always Win」

大手投資ファンドのアポロ・グローバル・マネージメント社の元パートナーだった著者が、プライベート・エクイティ・ファンドと呼ばれる種類の投資ファンドについて説明する本。プライベート・エクイティ・ファンドとは株式市場に上場されていない企業の株式や債権に投資し(あるいは公開企業を買収して非上場化し)経営に参加、事業の価値を上げて売るタイプの投資ファンド。弱っている企業を買収して従業員をリストラしたり事業をバラバラに解体して売却して利益を上げるハゲタカファンドというイメージがあるけれど、いや自分たちは本当に世の中のためになる仕事をやってるんだ!プライベート・エクイティ・ファンドがあるおかげでみんなの年金が成り立っているんだ!と著者は言いたい様子。タイトルはファンドに投資する顧客から受け取る標準的な報酬で、手数料は投資額の2%、それに加えて利益の20%、という意味。

個々のエピソードとしては「こういう困った状態に陥った企業があり、このようにして解決した、そしたら投資額が何倍にもなって返ってきた」という話はおもしろいのだけれど、年金制度がこういう投資によって支えられていると聞いても頼もしいとは思えず、不安しか感じないわたしは投資に絶対に向いていない。まあ理解不能なデリバティブを売ったり短期的にお金を動かすだけで利ざやを稼ぐようなファンドとか、ベンチャーに手当り次第投資してどれか1つでも大当たりしたら儲けものみたいなファンドに比べたら、ちゃんとした事業にコミットして利益を出して価値を上げる、というプライベート・エクイティ・ファンドの「良い場合のパターン」はまともに見えてしまう。よく知らない業種の内幕はそれなりに興味深かった。