Rajiv Shah著「Big Bets: How Large-Scale Change Really Happens」

Big Bets

Rajiv Shah著「Big Bets: How Large-Scale Change Really Happens

ビル・ゲイツのような大富豪やバラック・オバマのような政治家の元でいろいろやっていた人が、大富豪でなくても、大統領でなくても、誰でも世界を良くする大きな挑戦に参加することができるよ!と希望を振りまく本。

ある信頼している団体が推薦していたので読んだのだけど、医学と経済学を修めた医療経済学者で、30歳そこらでゲイツ財団では何百億円というお金を動かし、オバマ政権では国際開発庁長官としてそれ以上の金額と8000人のスタッフのトップに立っていた人に「誰でもできる」なんて言われても、なにいってんのこの人?としか。現在はロックフェラー財団の理事長として、同じようにものすごい額のお金を動かしている。

動かしているのはお金だけじゃなくて、各国の大統領や首相と直接面会してエボラ熱への対応や発電施設の整備、被災者の支援など重要な活動をしていて、うん、巨大な財団や政府のなかでそういう問題にきちんと取り組む人は必要だね、とは思うんだけど、さすがに規模が大きすぎるのと、ときには米軍を伴って他国に乗り込み現地の独裁者やインドのモディ首相のような権威主義的な指導者に取り入ってアメリカの専門家が考えた解決策を押し付けたりするのは、やっぱりついていけない。アカウンタビリティのために支援の成果は数字で検証すべきだというのも一見筋が通っているけど、成果が数字で確認しやすい部分にばかり支援が偏ったり、数字になりにくい副作用が無視されることになりかねない。それをゲイツ財団やアメリカ政府の資金と権力で実行するのだから、もちろんうまくいって人々の生活が良くなった例もたくさんあると思うのだけど、正直こわい。

世界をより良くしたい、人々の生活を向上したい、と思っている才能ある若い人たちが、かれのようになることを目指すのが良いことなのかどうか、よくわからない。まあそういう人たちがウォールストリートやシリコンバレーに就職して他人の金で博打を打つよりはマシなのかもしれないけど。