Jen Psaki著「Say More: Lessons from Work, the White House, and the World」

Say More

Jen Psaki著「Say More: Lessons from Work, the White House, and the World

2021年から2022年にかけてバイデン大統領の初代ホワイトハウス報道官を務めたジェン・サキが自身のキャリアを振り返りつつ広報の仕事やその他の職場や家族などにおけるコミュニケーションのアドバイスをする本。

著者はワイオワ州民主党をはじめジョン・ケリーの大統領選挙運動、そのケリーがのちに長官となった国務省、オバマ政権のホワイトハウスの仕事を経験し、バイデン政権では初代ホワイトハウス報道官に。その経験から、自分がおかしてしまった失敗を交えつつ広報やコミュニケーションの方法についてあれこれ持論を主張する一方、政治の中枢にいた経験についての話はそれほど深くない。まあ報道官だから重要な決定に参加したわけでもないし。トランプ時代の前任者たちが記者会見でウソをつきまくったせいで悪化したメディアとの関係改善には苦労しただろうなあと思うけど。

本書で一番の発見は、2004年の大統領選挙でブッシュの側近カール・ローヴの策略で冷酷で優柔不断なイメージを押し付けられたジョン・ケリーが意外とセンシティヴで優しい上司だったということ。そのケリーの国務省を含めオバマ政権で8年間働いた一方、バイデン政権には1年と少ししか在籍していなかったので、本書の内容がケリー>オバマ>バイデンの順番の比重になってしまうのは仕方がないけど、謝辞のコーナーにバイデンの名前がないのが気になる。え、バイデンとのあいだになにかあったの?