Gerald Horne著「The Dawning of the Apocalypse: The Roots of Slavery, White Supremacy, Settler Colonialism, and Capitalism in the Long Sixteenth Century」

The Dawning of the Apocalypse

Gerald Horne著「The Dawning of the Apocalypse: The Roots of Slavery, White Supremacy, Settler Colonialism, and Capitalism in the Long Sixteenth Century

アフリカ系アメリカ人史を専門とする歴史学者による「長い16世紀」についての本。「長い16世紀」というのは一部の学者が使う用語で、その後の(大西洋)世界の趨勢となる資本主義と入植植民地主義が固まった15世紀後半から17世紀中盤までを指す言葉。なんでやねんって思うかもしれないけどこれはまあそういうものと思って。

この本は著者の前作で17世紀について書かれた「The Apocalypse of Settler Colonialism: The Roots of Slavery, White Supremacy, and Capitalism in 17th Century North America and the Caribbean」 の続編というか前日譚で、そのつもりで手を出したら大失敗した。わたし米国史はいろいろ学んできたけど、その前段階のヨーロッパや中東・アフリカの話をよく知らないので、全体的な流れや固有名詞がわからず読みながら躓いた。こんなに自分の無知を突きつける本久しぶりに読んだわ… まあ大きな話としては、スペインからイギリスへの覇権の移動と、入植先での分断か宗教から人種に移行する流れ。

(アメリカ・アフリカ両大陸の)先住民のことをIndigeneとあまり使わない言葉で呼んでいるのとか、アメリカ先住民の虐殺を「ある歴史家によるとジェノサイド」と表現するところがあって最初はちょっと引っかかったけど、17世紀以降のアメリカに対する理解を深められたと思う。あとバカっぽい感想だけど、16世紀のオスマン帝国すげえ。米国史以外の世界史の知識が乏しいので、産業革命に乗り遅れたあげく第一次大戦に巻き込まれて滅亡したオスマン帝国しか頭の中にイメージなかった。