Elie Mystal著「Bad Law: Ten Popular Laws That Are Ruining America」

Bad Law

Elie Mystal著「Bad Law: Ten Popular Laws That Are Ruining America

元弁護士にして法律の専門家としてコメンテータとしても活躍する著者が、アメリカを悪くしている10の法律について解説する本。これらの法律は広く世間の支持を集めているか、少なくとも制定時には集めていたもの。

まず白状するけど、わたし、実はこの本は最初の数章しか読んでいません。本書が取り上げる10の法律とは厳密には特定の法律ではなく、有権者登録制度、移民排斥、規制撤廃、大量収監、銃規制、妊娠中絶など、10の分野の法のおおまかな枠組みみたいなものを指しており、それぞれについてリベラルあるいはプログレッシヴな立場からみたスタンダードな見解が書かれているけれど、わたしにとっては驚きや新たな学びがなく退屈だったし、目次を見たところ最後まで読んでも予想を超えるものがなさそうだと感じた。また、本書の主張と反対の意権を持つ人はまず読まないだろうし、仮に読み始めたとしてもやっぱりすぐに辞めると思う。

そうすると本書の価値は、ぼんやりとリベラルだけれどそれぞれの分野についてあまり知らない人が、どういうおかしな法律のせいで世の中がこんなことになってしまっているのか理解するための助けになる、といったところだと思うけれど、そういう人が本書を読むというのもあんまり考えられない。となると、すでに同じ意見を持っている人が、そうだそうだ自分たちは正しいんだと納得するためのエンターテインメントとしての価値が中心となってしまうわけだけど、それでいいの?別に内容が悪いというわけではないし、たとえば海外の人がアメリカの政治について学ぶためなら十分に役に立つと思うけど、わたしにとっては残念だった。