
Scott Dikkers著「The Onion Story: How a Band of Misfits, Dropouts, and Sad Sacks Built the World’s Most Trusted News Source」
風刺新聞「The Onion」創始メンバーの一人で、長年編集長も務めてきた著者による自叙伝。本人は自分はまだ人生の半分も生きていない、自叙伝というには早すぎる、という意味から自叙伝ではないと言っているけど。
本書はサブタイトルにThe Onion誌のことを「世界で最も信頼されているニュース源」と呼んだり、各章にもThe Onionの見出し風のアイロニーの効いたタイトルを付けるなど、どこまで本当か分からない本なのかな、という印象を与えつつ、書かれている内容はリアル。もしかしたらおふざけも入っているかもしれないけれど気づかない範囲で、大学新聞でカートゥーンを描いていた著者がThe Onionに加わりインターネット、ショート動画、書籍、映画などさまざまなメディアに展開してきた話とともに、怖い物知らずの若者だからこそ出来た(そしてときに痛い目にあった)面白ければそれでいい的な無茶苦茶なエピソードも多数。
The Onionについては第三者の立場からその歴史を紐解いたChristine Wenc著「Funny Because It’s True: How The Onion Created Modern American News Satire」が今年の春に出版されているけれど、それぞれおもしろいし。とくに映画版The Onionの失敗談や、著者にとってもっとも苦い経験となったニューヨークからシカゴへの本拠地移転をめぐる内部対立の話などについてお互いを保管しているので、The Onionのユーモアが好きな人はどちらも読んで。