Raquel Willis著「The Risk It Takes to Bloom: On Life and Liberation」

The Risk It Takes to Bloom

Raquel Willis著「The Risk It Takes to Bloom: On Life and Liberation

ジョージア州出身の黒人トランス女性ジャーナリスト・編集者・活動家による素敵な自叙伝。

2017年、トランプの大統領就任の翌日に行われた「女性のマーチ」で登壇者としてスピーチをしている最中に主催者にマイクを切られた経験からはじまり、幼少期のクィアな子どもあるあるや、学生時代にはじめゲイとして、そしてのちにトランス女性としてカミングアウトして仲間と出会った話やアトランタの黒人LGBT団体でインターンシップをして運動に目覚めた話、ジャーナリストとしてゲイメディアに就職して苦労した話などを挟み、最後は2020年のブラック・ライヴズ・マター運動のなかで黒人トランス女性の命を守るための集会で演説したシーンでまとめる。

ジャネット・モックやラヴァーン・コックスらメディアで活躍している黒人トランス女性だけでなく、ミス・メイジャーら運動界でレジェンドとなっている黒人トランス女性活動家たちとも関わりさまざまな考え方を学び自らのものとして消化しているだけでなく、多くの先人たちの経験に敬意を見せているのには好感。わたしは最近まで著者とは直接面識はなかったのだけれど、近い界隈にいる人であり共通の知り合いは大勢いるので、逆にどうして出会わなかったのか不思議。本書で言及されているコンファレンスやイベントにはわたしも参加していたものもあったんだけど。