Omar El Akkad著「One Day, Everyone Will Have Always Been Against This」
エジプト出身で親とともに16歳でカナダに移住し、現在アメリカ在住の作家・ジャーナリストが、ガザで進行中のジェノサイドとそれに対して発するべき言葉を失ってしまったリベラルな作家やアーティストたちに感じる息苦しさを、命を削って言葉に書き起こした本。タイトルは「いつか誰もが『わたしはずっとあれには反対だったよ』と言うだろう」という予告。自由や平等、人権、民主主義、あらゆる言葉がこれまでそうした言葉を担ってきた人たちの沈黙により意味を失い、どうすれば取り戻せるのかも想像できない。そういうなか、自身の小説が文学賞を受賞したからといって何もなかったかのようにレセプションに参加することはできるのか。レセプションに参加してそれをぶち壊しにすることはできたとしても、そこから先のビジョンが繋がらない。欧米の言ってきたことはすべてウソでした、では済まないけれど、まずはそこに立たなければ話がはじまらない。