Nahid Shahalimi編「We Are Still Here: Afghan Women on Courage, Freedom, and the Fight to Be Heard」

We Are Still Here

Nahid Shahalimi編「We Are Still Here: Afghan Women on Courage, Freedom, and the Fight to Be Heard

2021年8月にアフガニスタンから米軍が撤退しタリバンが実権を再掌握したあとドイツで緊急出版されたアフガニスタンの女性たちの証言集の英訳本。編集者はアフガニスタン生まれで家族とともに難民としてカナダに逃れ、現在はドイツでライターとして活動している女性。タリバン復権のなか自由を求める女性たちの声をできるだけ早く世界に届けなければいけないと2ヶ月のうちに集めた女性たちの声は、編者のように外国で育ったけれどもアメリカ駐留中にアフガニスタンの未来を作ろうと帰国していた人や、タリバンから逃れて出国した人、女性が教育を受ける権利を求めてデモを率いたのち報復を恐れて隠れ住んでいる人、外出を禁止されても女性たちがリモートで仕事ができるようにプログラミングの知識を広めている人など、さまざま。

アメリカの占領やアメリカ主導の「国家建設」は犠牲も多かったし、そもそも外国の軍隊に頼った「女性の地位向上」は長続きしないけれども、過去20年間のあいだに教育を受けそれまでなら考えられなかった就業機会を得た若い女性たちがたくさんいたのもまた事実。しかしトランプ政権からバイデン政権にかけて米軍のアフガニスタン撤退の方針が決まり、タリバンとの停戦交渉が行われると、当初は女性たちはそこに招かれず、米軍撤退後のアフガニスタンからアルカイダやイスラム国をどう排除するかといった米国の安全保障に関わる話ばかりが議論され、女性たちの懸念は軽視された。米軍が撤退するのは当然のこととして、置き去りにされた多くの人たちに対する米国の責任は深刻。

復権したタリバンの施政は90年代のそれに比べるとマシだという報道もあるけれど、タリバンは変わったのか、という質問に対して女性たちは口を揃えて「変わったのはタリバンではなく女性たちだ」と。外国の武力ではなくアフガニスタンの女性たち、そして彼女たちを支持する全てのアフガニスタンの人たちの力で、彼女たちが自由に生き等な機会を得られる世の中が作り出されることを願う。(あとどうでもいいけど、マーガレット・アトウッドのイントロいらん。)