Mikhail Khodorkovsky著「How to Slay a Dragon: Building a New Russia After Putin」
エリツィン時代に石油会社を設立し一世を風靡した元オリガルヒの一人にして現在は地位を失いロンドンで亡命生活をしているロシアの元実業家で現政治運動家が、プーチン後のロシアで民主派がどう政権を奪取するか、どう国を運営していくか構想する本。
いやなんというか、思っていた以上に理念的というか、革命理論の本だった。革命家は国内に潜伏すべきか国外から運動すべきか、どのような理念で連合するか、過渡期の政権運営はどうするか、など、まあだいたい西側の人間から見て納得できる内容ではあるのだけど、ロシアでこれ支持されるんだろうか?と。まあ支持されてないから今みたいなことになっているわけで。プーチンは対外進出を止められず、ウクライナでなければバルト海で、あるいはバルカン半島かポーランドかどこかの段階で戦争に負けて終焉を迎えるほかなく、だからプーチンの後にそれより酷い全体主義が生まれないように民主勢力が準備をしておかなければいけない、というのは分かるんだけど、この本がその準備になるのか不安。
ソ連崩壊後にエリツィンは国営企業の民営化を進めたけれども、国外から人員を採用するにしても実務経験が豊富な一線のプロではなく頭でっかちなシカゴ大学出身の連中を雇い入れたせいでオリガルヒへの利益供与になってしまって失敗した、的な内容は、お前が言うなとも思うけど、まあ自分がそうやって国有財産を私物化したからこそ「次に同じことをやってはいけない」と思えるのかも。でもまああんまり期待できないなあ。