Kyo Maclear著「Unearthing: A Story of Tangled Love and Family Secrets」

Unearthing

Kyo Maclear著「Unearthing: A Story of Tangled Love and Family Secrets

イギリス人の父親と日本人の母親を持ちカナダで育った女性が、その父の死後かれと血が繋がっていなかったことを知り、自分の出生の秘密と実の父が誰だったのか探る本。著者は成功した作家であり園芸家で、いやいやちょっとそれはやり過ぎでは?と思うくらい美しい文体と、園芸と人生を絡め日本語の四季の言葉を散りばめた構成はすごい。

出生の秘密とそれを著者がどう解明していくのかはネタバレしないでおくけれども、日本人のお母さんの逞しさがすごい。あまり本筋に関わらないところから例をあげると、英語がほとんどしゃべれない彼女は布教のために家を訪れたエホバの証人の人を招き入れると、自分は仏教徒だがキリスト教について学びたい、と興味のあるふりをして再三その人たちに来てもらい、聖書を読む手伝い、という口実で実質的に英語の家庭教師をしてもらった、というエピソードとか。最終的に利用されていると気づいたエホバの証人の人たちは来なくなったらしいけど、あの人たちに諦めさせるなんて。