Janina Fisher著「Healing the Fragmented Selves of Trauma Survivors: Overcoming Internal Self-Alienation」

Healing the Fragmented Selves of Trauma Survivors

Janina Fisher著「Healing the Fragmented Selves of Trauma Survivors: Overcoming Internal Self-Alienation

日本語版「トラウマによる解離からの回復: 断片化された『わたしたち』を癒す」 出版されたばかりの本を多く読むわたしには珍しく2017年に出版された本だけど、性暴力サバイバーのカウンセラーをしている知り合いにお勧めされたので読んだ。内容をわたしが下手に要約しておかしな方向に誤解が広まったらいけないのでツイートでは内容には触れないけど(アマゾンのページの日本語版の紹介文でも読んで)、サバイバーにもセラピストにもお勧めできると思った。

今年1月には著者は「Transforming The Living Legacy of Trauma: A Workbook for Survivors and Therapists」という本を出していて、これは上記の本の内容をより実践的なワークブックとして分かりやすくしたものらしい(まだ読んでないけど)。わたし、普段は電子書籍を図書館からダウンロードしてきて読んでいるのだけど、ワークブックはいろいろなところで使えそうだしシェアしたいので久しぶりに紙の本で注文した。

著者は「The Body Keeps the Score: Mind, Brain, and Body in the Transformation of Trauma」(日本語版「身体はトラウマを記録する――脳・心・体のつながりと回復のための手法」) で有名なBessel van der Kolkが設立したトラウマセンターで経験を積んだ人で、その一派。かれはCPTSDの治療をしている人のあいだではカルト的なフォロワーがいる一方、精神医療業界には懐疑的な人もいて、そのあたりは2014年のNYT記事参照。van der Kolkはその後反論している。

(追記)Bessel van der Kolkがパワハラで自分が30年以上前に設立したトラウマセンターから2018年に解雇されてた件、詳細は公開されていないけど、まあ驚きはないというかカリスマ精神科医がパワハラ男だったというのはありがちなパターンだし、だからといってかれの治療理論がダメということにはならないんだけど、インタビューで解雇された経験を「トラウマになった」と答えているのはちょっとねえ。専門家として軽々しくトラウマという言葉を使うなと。