Hawon Jung著「Flowers of Fire: The Inside Story of South Korea’s Feminist Movement and What It Means for Women’s Rights Worldwide」

Flowers of Fire

Hawon Jung著「Flowers of Fire: The Inside Story of South Korea’s Feminist Movement and What It Means for Women’s Rights Worldwide

フランス通信社(AFP)のソウル支局で長年働いていたジャーナリストによる、韓国フェミニズムについての待望の書。アメリカにくらべて日本では韓国の本が多数翻訳出版されていたり、韓国のフェミニズムについて広く紹介されている印象があるのだけれど、アメリカではあまり紹介されてこなかったので、ようやく韓国のフェミニズムについて知ることができて嬉しい。

本書は2018年の長時間に渡るスピークアウトなど韓国におけるMeToo運動の高まりから、テクノロジー大国ならではのハイテク盗撮に対する怒りの運動、フェミニズムコミュニティサイト「メガリア」の勃興とミラーリングという手法の拡散、そしてその閉鎖から「WOMAD」の誕生、脱コルセットの概念といった、日本語ツイッターで話題として見かけていたけれど詳しくは知らなかった話からはじまり、韓国におけるリプロダクティヴ・ライツを求める運動の歴史や日本軍「慰安婦」制度や第二次大戦後の韓国政府や米軍による管理売春制度に対する批判、性的少数者の運動などにも触れたあと、一部の男性や政治家によるバックラッシュや、ミラーリングがゲイ男性や移民など弱い立場の人たちに向かった例、また一部の女性運動内での腐敗などの課題も扱っている。「どうして女性運動に限ってほかのマイノリティにも配慮しなくちゃいけないのか、女性だけを優先してなにがいけないのか」という問いは、アメリカの白人フェミニズムが抱える課題とも共通する。

もちろん本書では省かれたことはたくさんあるんだろうし、一冊の本で分かった気になっちゃいけないとは思うけど、韓国の女性たちがどのようにして怒りを共有し社会を変えてきたのか、そしてこれからも変えていこうとしているのか、という話にはとても勇気づけられる。韓国フェミニズムの国外への影響として、中国や日本への伝播についても取り上げられている(日本の話は基本、北原みのりさんの声だけが紹介されているけど)。とてもおもしろかった。