Elizabeth Hinton著「America on Fire: The Untold History of Police Violence and Black Rebellion Since the 1960s」
公民権法が成立した1960年代以降、警察による黒人への暴力やその責任を問わない司法制度に対して各地で起こった暴動の歴史についての本。1965年のワッツ暴動から去年のミネアポリスまで、暴動が起きた背景になにがあったのか、コミュニティはなにを要求し、それに対して警察や政府がどのように応答したのか(だいたいさらなる暴力)掘り起こすことで、暴動を黒人たちによる抵抗運動のなかに正しく位置づける。
暴動が起きるたび、その原因がなんだったのかという調査が行われ、時によってはコミュニティの不満を汲み取った適切な提言が行われることもあったのに、それが政策として採用されることはほとんどなく、いっぽう警察はさらなる民衆鎮圧兵器を採用し暴力を強化してきた。2020年のBLM運動では、連邦政府が軍や国境警備隊を投入して暴力的に鎮圧をはかる一方で、黒人以外の人たちも大勢参加し、さらに一部の政治家や企業も支持を表明した。しかし著者は、過去にもそういった動きはあったとし、時間の経過により全てを失わないような運動の継続が必要とする。