Camilla Falkenberg et al.著「Girls Just Wanna Have Funds: A Feminist’s Guide to Investing」

Girls Just Wanna Have Funds

Camilla Falkenberg et al.著「Girls Just Wanna Have Funds: A Feminist’s Guide to Investing

おまえ絶対はじめから貶すつもりで読んでるだろ、と思われても仕方がないけど、「フェミニストのための投資ガイド」という本ですはい。タイトルはもちろん日本でははじめ「ハイ・スクールはダンステリア」というクソダサいタイトルで売られていたらしい曲のパロディ。

資本主義のなかで女性がバリバリ仕事をして稼いで力を得る、という白人フェミニズムの代表作といえばシェリル・サンドバーグの書いた『LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲』だけれど、本著はそれにも増してフェミニズムを推進するフリすらなくて潔い。社会では男女平等が進みつつあるけどいまでもまだ経済面では格差が大きい、世の中が変わるのを待っているあいだに投資で稼いで自由と自立を勝ち取ろう、と書かれているんだけど、世の中を変えようとするのではなく勝手に変わるのを待っているフェミニズムは斬新。

複利について説明するためなのか分からないけど「あなたの子どもが生まれたときに$2,050ドル(現時点で26万5000円強)を投資して毎年1割の利率で増やしたら、その子が65歳になるときにはミリオネアになっています」ってなにそれツッコミどころ多すぎ。あと暗号資産についてボラティリティを指摘するのはいいのだけど、リスクヘッジのために「暗号資産に投資するなら、少なくとも一部はビットコインやイーサリアムのような確立されたものに投資しましょう」と書いていて、それってリスクヘッジとして大丈夫なの?投資先を選ぶのにグーグルで検索しましょうというのも不安だし。

まあ全体として、とくにフェミニズムとは関係ない投資入門の本だけど、投資入門の本をほかに読んだことがないのでほかと比べてどうかは分からない。てか投資自体やってないし知らん。でも素人がみても怪しそうな部分は結構あった。