Simon LeVay著「Attraction, Love, Sex: The Inside Story」

Attraction, Love, Sex

Simon LeVay著「Attraction, Love, Sex: The Inside Story

自身も同性愛者で同性愛の科学的研究などで知られる大御所神経学者・性科学者サイモン・ルヴェイせんせーの最新作で、ヒトのセクシュアリティについてさまざまな側面から最新の研究を分かりやすくまとめた一般向けの本。

「そもそもどうしてヒトはセックスするのか?」という疑問に応えるところからはじまり、個人の嗜好や性的指向、身体的な反応、セックス、関係性、パラフィリア、ペドフィリア、ポルノ、レイプなど段々ハードになるトピックを扱ったあと、「愛情」でほっこりさせて終わる構成。健康な胎児を生むためには妊娠中の女性とセックスして精子を送り込むことが必要だという科学的には根拠のない考えがある文化について紹介しつつ、「胎児に栄養を届けることを考えるなら、精子にはいくらかカロリーがあるのでオラルセックスの方が僅かながら有効だ」と付け加えるルヴェイ節も健在。飲み込むこと前提かよ!

ゲノムワイド関連解析(GWAS)を使ったビッグデータ的な研究についての話は目新しかったけど、J.マイケル・ベイリーとかがいまだに幅利かせてるんだなあと思うと性科学という業界のムラ社会的な狭さが気になった。