Sheera Frenkel & Cecilia Kang著「An Ugly Truth: Inside Facebook’s Battle for Domination」

An Ugly Truth

Sheera Frenkel & Cecilia Kang著「An Ugly Truth: Inside Facebook’s Battle for Domination

日本語のニュース記事でもこの本に言及したものが出ていたので急いで読み終えた、Facebookについての新しい本。ザッカーバーグとサンドバーグという二人のリーダーを中心に、Facebookが広告メディアとして成功してきた軌跡とともに、収益を最大化するために作り上げたプラットフォームがフェイクニュースを蔓延させ、国家による工作や極右による暴力扇動・実行のツールとなった経緯が書かれている。Facebookが2016年大統領選挙に与えた影響や、コロナと大統領選挙をめぐるデマの拡散から議事堂占拠事件につながる流れのなかで、Facebookが果たしてしまったネガティヴな役割については、まあ既に知ってたけど、アメリカよりさらに放置されていた海外での事例、たとえばミャンマーにおけるロヒンギャ虐殺にFacebookが加担した例などは勉強になった。当時ミャンマー語のわかる職員1人にミャンマー関連のポストやコメントのモデレーションが任されていて(ロヒンギャ語がわかる職員はおそらくいなかった)、ロヒンギャに対するデマ記事やデマ写真を使った差別扇動が放置されてたり、国連調査団への協力をFacebookが拒否したりとか。で、2020年大統領選挙の終盤になって、「Facebookが民主主義を崩壊させたと言われたら大変だ」という危機感が生まれて、ようやくコロナや選挙制度についてのデマ情報を規制しだし、今年1月の議会占拠事件では率先してアカウント停止などを行った…って今更遅すぎるけど、今後さらに批判は続きそう。