Melissa Blake著「Beautiful People: My Thirteen Truths About Disability」

Beautiful People

Melissa Blake著「Beautiful People: My Thirteen Truths About Disability

フリーマン=シェルドン症候群を持って生まれ、車椅子を必要とするだけでなく顔や手足が目に見えて他人と違うため疎外感を感じて育った著者が、13章を通して障害者に対するよくある誤解や間違った配慮を正し、障害者の解放を訴える本。

タイトルが「美しい人たち」だから、表紙にある13の写真は著者を含む13人の障害者の写真かと最初は一瞬思ったけど、よく見たら全部著者自身の自撮り。自分好きすぎてすげーな!と思ったけれど、もとはブログでトランプ大統領を批判する記事を書いていたら右翼インフルエンサーの目に止まり、こんな醜い女が二度と自分の写真を公開するのを禁止するべきだ、と彼女の外見に対する誹謗中傷が殺到したことを受け、「そんなにこいつらの意識を逆なでするなら」と逆に毎日自撮りをアップして注目された経緯から。要するに表紙は彼女のベスト・オブ・自撮りなのだろう。

内容としては、著者が白人シスヘテロ女性であることもありディスアビリティ・ジャスティスという言葉の扱いが緩かったり、人種や階級、セクシュアリティなどによる障害者の多様性にも配慮すべきだと言いつつあんまり多様な障害者を引用するわけでもなく物足りない部分はある。とはいえ、障害者に対するさまざまな呼称が障害者自身にどのように思われているのか、障害の社会モデルとは、パンデミックによってリモートワークが拡大して障害者の雇用率が上がったり優生主義的に命の価値を低く見積もられたりといった話、障害者にとって車椅子は便利な道具であって拘束具ではない(スティーヴン・ホーキング氏が亡くなったとき、「ついに車椅子から自由になった」という追悼文がメディアに掲載されていた)、ソーシャルメディアの功罪とマスクによるツイッター買収による問題など、広く扱っていて十分に読みごたえはある。