Marc Lamont Hill著「We Still Here: Pandemic, Policing, Protest, and Possibility」
パンデミックと警察の暴力により黒人たちの命が日常的に軽く扱われていることに主流社会が気づき始めた2020年に出版された、黒人ジャーナリスト・批評家によるタイムリーなインタビュー・エッセイ集。ブラック・ライヴズ・マターの運動はフロイド氏の殺害を受けて突如立ち上がった運動ではなくアメリカに最初のアフリカ人奴隷が連れてこられてからずっと続いてきた抵抗の歴史に繋がっていることや、どうしてBLM運動が警察や刑務所の改革ではなく予算削減・廃止を主張しているのか、リスペクタビリティの論理に絡み取られるのではなく「全ての黒人の命」を守るとはどういうことか、黒人運動におけるブラック・フェミニズムの重要性、また「オール・ライヴズ・マター」のどこがおかしいのかなど、重要な論点を運動の初心者にもインタビュワーとの会話を通して分かりやすく解説してくれる。
たまたま最近図書館に入荷されていたので3年近く遅れて読んだけれども、2023年のいまでもお勧めできる。