C. Riley Snorton著「Black on Both Sides: A Racial History of Trans Identity」

Black on Both Sides

C. Riley Snorton著「Black on Both Sides: A Racial History of Trans Identity

わたしが取り上げる本のなかでは2017年刊と少し古め。難しそうなのでずっと後回しにしてたけど、重要っぽいのでついにちゃんと読んだ。著者はトランスジェンダー自認の黒人男性で人種とジェンダー・セクシュアリティの歴史と文化研究で注目を集めている人。この本は奴隷とされた黒人女性への人体実験の記録や逃亡奴隷の証言から黒人指導者らによる出版物、トランスセクシュアル文献とそこから埋もれた黒人トランスジェンダーたちについての報道記録など、高級とされるものから低俗とされるものまでさまざまな史料を横断して、ジェンダーやセクシュアリティの可変性と人種システムとの関係性や、一般的なトランスセクシュアルやトランスジェンダーの規範的な定義が白人中心主義に基づいていることなどを指摘している。

と言ってもなんのことだかわからない人が大半だと思うけど、実際に読んでみてもよくわからないかも… わたし自身、ちゃんと理解している自信はないのだけど、トランスの歴史と黒人の歴史がそれぞれ別個の一部だけ重なっている歴史ではなく、ジェンダーやセクシュアリティの構築が白人至上主義的な人種関係の構築と深い関係にあることは覚えておきたい。