Katie Porter著「I Swear: Politics Is Messier Than My Minivan」

I Swear

Katie Porter著「I Swear: Politics Is Messier Than My Minivan

2018年に初当選し議会民主党の進歩派の中心人物の一人となったケイティ・ポーター下院議員の本。

農家だった家庭に育った著者は、のちに上院議員・大統領候補となるエリザベス・ウォレンのもとハーヴァード法学院で学び、彼女の紹介から悪質な住宅ローンの取り立てに苦しみ自宅を失う人たちと出会う。かれらの話から住宅ローン債権が何層にも重なる証券化により縁もゆかりもないファンドに所有されており、かれらが催促の根拠となるはずの元のローンの資料や契約のコピーすら持っていないこと、にも関わらず勝手に利率を変えたりさまざまなサービス料を追加するなどして違法に請求額を大幅に水増ししていることなどに気づく。銀行やファンドによる不法行為と闘い一般消費者を守る活動で頭角を現した彼女は、ウォレンを追って政治の世界へ。

共和党が強いオレンジ郡で現職を破って下院議員に当選した著者は、証人として招かれた大企業幹部に対する厳しい質問で注目を集める。問題を起こして訴えられた裁判で企業が行っている法的主張を徹底的に調べあげ、議員の前では消費者保護をうたいながら実際に裁判では「消費者保護は消費者に対する約束ではなく履行する義務はない」と主張する銀行やテクノロジー企業の幹部の発言に矛盾を突きつける動画はソーシャルメディアでも注目される。

本書はそうした著者を有名にした議会での活躍などに加え、彼女を厳しく育てた両親の話や、幼い子どもを持つシングルマザーとして議員活動をする大変さ、個人的な資産を持つ議員と自分との格差、息子が自宅の近所にある家の前にあった対立候補の看板を勝手に捨ててしまったことを知ったときのパニック、2021年1月に議会がトランプ支持者らによって襲撃を受けた際にアレクサンドリア・オカシオ=コルテス議員を議員オフィスに匿った時の話など、バラエティ豊かな話題を時に熱く、そしてユルくに記した、楽しい本。彼女がよく議会でやるホワイトボードを抱えたシーンをイラストにした表紙やタイトルからしてユルいし。議会がシングルマザーが議員になることを一切想定していない、というのは本当にそのとおりだわ。

最近、ポーター議員は2024年は下院ではなく引退するダイアン・ファインスタイン議員の後釜を狙って上院の選挙に出ると宣言した。この本を読んでますます彼女のことが好きになったし、政治家として長く活動してほしいとは思うのだけれど、わたしはその議席にはバーバラ・リー下院議員が就いてほしいので彼女が下院議員選挙に出ないのは残念。まあオレンジ郡で民主党候補が勝つのは難しいから、仮に下院にとどまっても勝てるとは限らないのだけれど、彼女以外が候補だと勝てる確率がさらに落ちる。ちなみにアダム・シフ下院議員も同じ上院の議席を狙ってるらしいけど、あいつ自身が失業しても別にどーでもいいしあいつの選挙区(ロサンゼルス郡)はかれでなくても民主党候補が勝てるので問題なし。