Kathryn Kolbert & Julie F. Kay著「Controlling Women: What We Must Do Now to Save Reproductive Freedom」

Controlling Women

Kathryn Kolbert & Julie F. Kay著「Controlling Women: What We Must Do Now to Save Reproductive Freedom

上院共和党の強引な手法により最高裁やその他の連邦裁判所が超保守系判事に席巻され、妊娠中絶を合法化した1973年のRoe v. Wade判決がいつ破棄されてもおかしくない状況。これまで50年近くのあいだ、宗教右派はRoeを一気に覆すことはできなかったものの、未成年や移民女性、貧しい女性らをターゲットに少しずつ妊娠中絶の権利を削る戦略を取ってきて、リベラルは防戦一方だった。

しかしついにRoeの破棄が目前に迫り、これまでのような妊娠中絶に対するさまざまな理不尽な規制を裁判で押し止める戦略では勝てなくなるので、これからは積極的に妊娠中絶の権利を守るための法や民間の取り組みを強化するべきだ、と訴える。著者の一人は、前回Roeが破棄される寸前まで行った1992年の裁判、Planned Parenthood v. Caseyで争った弁護士であり、アイルランドで妊娠中絶合法化のキャンペーンを成功させた人でもあり、そのあたりの裏話や教訓が興味深い。反中絶派の側の歴史については少し薄いので、以前に紹介した「Abortion and the Law in America」も参照。