Jill Gutowitz著「Girls Can Kiss Now: Essays」

Girls Can Kiss Now

Jill Gutowitz著「Girls Can Kiss Now: Essays

テイラー・スウィフトのミュージックビデオや歌詞を読み解き彼女がクィアである「証拠」を探す熱血ファンたちの活動への関わりで知られ、ポップカルチャーとレズビアンやクィア女性との関係について雑誌やツイッターで発言を続けるレズビアンライターによるエッセイ集。ゲイやレズビアンがポップカルチャーに明示的に登場しはじめたけれども、ステレオティピカルな描写だったり、からかいの対象だったり、悲しい結末(愛する人と付き合えずに孤独になる、死ぬ、など)ばかり描かれたり、あるいはヘテロ男性の性的な視線に迎合した「レズビアン物」的に扱われていた、「狭間の時代」にレズビアンであることを自覚した著者が、自分の過去とその時々のポップカルチャーやハリウッドゴシップを交えながらユーモラスに綴ったエッセイ本。各章は独立したエッセイでありながら、思わぬところで伏線回収したりお笑いでいう「天丼」が来たりする構成も楽しい。おもしろく、たまに「うわあ」と思わされて、あっという間に読めた。著者はわたしより15歳ほど下だと思うし、わたしは彼女ほどポップカルチャーに深く触れていたわけではないけれど、同じ時代をレズビアンコミュニティで過ごした経験から共感できる部分もたくさんあった。あと表紙も好き。