Jennifer Otter Bickerdike著「Eternal Flame: The Authorized Biography of The Bangles」
女性4人による1980年代に活躍したロックバンド、バングルスのメンバー公認による伝記本。タイトルはもちろん1989年にヒットしたバラード曲から。
バングルスはゴーゴーズなどとともに女性ロックバンドとして成功したはじめてのバンドの一つ。女性だけのバンドが物珍しかった当時、彼女たちはそれぞれ独自の音楽性を認められず他の女性バンドと一緒くたに扱われたり、ラジオ局では一時間に女性バンドの曲は一曲しか流せないと言われたり、セクシー路線で売るよう強要されたり。とくにバングルスはビートルズに影響を受け、全員がボーカルでコーラス、リーダーはいない、と主張し続けたが、外見上最もウケが良かったスザンナ・ホフスがフロント・リードボーカルとしてメディアで扱われ、そのスザンナを気に入ったプリンスが楽曲提供(Manic Monday)するとさらに彼女一人が注目され、のちにバンドが分裂する原因となる。なにをやってもプリンスのおかげで成功したとして、自分たちが書いた曲も実は別の人が書いたに違いないとか、レコードで楽器を実際に演奏しているのは別の人に違いないと言われ、プリンスの事務所からも実際には録音には一切参加していないプリンスのバンドの演奏料の請求が来たほど。
こういう話を読むと、さすがに当時の女性アーティストたちは大変な思いをしたんだなあと思うけど、実のところリンダ・リンダズをはじめ最近の女性バンドも似たような経験をしていて、世の中変わっているようでいて変わっていない部分も。ところでこの本をきっかけにバングルスの曲を一通り久しぶりに聞いたけど、やっぱ彼女たちのコーラスかっこいい。あとスザンナの2分47秒の目力の殺傷力いま見てもすごい。