David M. Drucker著「In Trump’s Shadow: The Battle for 2024 and the Future of the GOP」

In Trump's Shadow

David M. Drucker著「In Trump’s Shadow: The Battle for 2024 and the Future of the GOP

バイデン政権が誕生してまだ1年も経っていないなか、2024年に行われる次の大統領選挙の共和党指名をめぐってすでに始まっている有力候補たちの競争についての本。著者は保守系政治雑誌のライターで、トランプ前大統領を含む多くの政治家や選挙スタッフに取材をしている。この本で大きく取り上げられているのは、コットン上院議員、クルーズ上院議員、ヘイリー元米国国連大使、ペンス前副大統領、ポンペオ前国務長官、ルビオ上院議員などで、それに加え黒人で反トランプ的な立場に立つハード元下院議員やトランプの長男ドン・トランプ・ジュニアらにも触れられている。あまり良く知らない共和党の政治家たちの人となりは興味深いし、コットンの分析癖やドン・ジュニアの政治的な感の鋭さなど思いがけない話も知ることができた。もちろんトランプ本人が出馬するかどうかが一番の焦点なんだけど、共和党のキングメーカーとしてのいまの立ち位置にとりあえずは満足してそうな感じ。まあトランプは予測不可能だけど。

本の最後で、トランプの本拠地でもある会員制クラブ・マーアラーゴでトランプに取材したあと、せっかくだから食事していってくれと言われた著者は、会員でない自分がマーアラーゴ内部を取材する良い機会だと思ったものの、「自分はジャーナリストだから奢られるわけにはいかない、食費は自分で出す」と言ったものの、いざ食事をしたらお金を受け取ってもらえない。「上司(トランプ)から絶対にお金を受け取るなと言われている、受け取ったらクビになる」と言われて困ったというエピソードが書かれているけど、ああ、迷惑だけどありそうな話だなあと。