Clarkisha Kent著「Fat Off, Fat On: A Big Bitch Manifesto」

Fat Off, Fat On

Clarkisha Kent著「Fat Off, Fat On: A Big Bitch Manifesto

ナイジェリア系移民の子どもとしてテネシー州で育ったビッグでビッチなクィア黒人女性の著者によるマニフェスト。

序盤、いきなり自分の家族について「良い人たちではない」と書いていて、いきなり毒舌すごいなと思ったら、冗談じゃないくらい毒々しい家庭だった。ナルシシストで幼いころの著者の姉を性虐待していた父親、自分の娘である姉妹に対して「夫と浮気してるだろ」と問い詰める母親、自分のほうが肌の色が浅黒く太っていることを理由にとにかくいじめてくる姉。伝統的な価値観とキリスト教的な性役割や性規範を押し付けてくる両親と姉のいじめによって、性的に抑圧され、自分の外見に自信を持てないまま育つ。

人種差別と家庭内やナイジェリア移民コミュニティ内のカラー差別、ボディイメージやバイセクシュアリティ・デミセクシュアリティをめぐる葛藤、太っている自分に対する社会の偏見を内面化してしまい無理なダイエットをしたり自殺を考えたりした経験、自信がないせいでセックス経験のないまま年齢を重ねた結果さらにこじらせてしまった話、何人かの男性や女性と付き合おうとしていろいろうまくいかない話など、彼女の人生で起きたさまざまな出来事が口語調で次から次へと展開する。めっちゃ分かる部分とそうでもない部分があるけど、こんな赤裸々な話わたしが聞いていいの?って思ってしまうほどブチまけていて、とにかく引き込まれる。著者本人が録音したオーディオブック版がお勧め。