Anna Bogutskaya著「Unlikeable Female Characters: The Women Pop Culture Wants You to Hate」
最近の映画やテレビ番組、ミュージックビデオのなかで描写されるさまざまなパターンの「好ましくない女性」を分類し考察する本。メディアにおける女性の描写についての批評はフェミニズムのなかで古くから行われてきたけれど、本書はとくに現代のメジャーな映画やテレビ番組、ミュージックビデオに注目。女性の描写が以前に比べて多様になった一方、それらが多くの場合「好ましくない女性」として新たなステレオタイプのもとに描かれていることを指摘する。
そうした描写の多くは、「好ましくない女性」の描写を通して女性を貶めたり、女性に対する不信感を正当化するようなものなのだけれど、少なくとも「聖女と娼婦」の二元制に代表されるような伝統的なステレオタイプと異なり、男性キャラクターと同じくらい複雑な人物として描かれることが多いため、著者は新たな女性描写を歓迎している。まあ著者自身が何度か思い出したかのように付け加えているように、「ただし見た目のいい白人シス女性に限る」という制約がかかっているわけだけど。