Zerlina Maxwell著「The End of White Politics: How to Heal Our Liberal Divide」

The End of White Politics

Zerlina Maxwell著「The End of White Politics: How to Heal Our Liberal Divide

去年の大統領選挙の民主党予備選でバイデンが指名獲得を確実にした時期に出版された本。著者は2016年選挙ではクリントン陣営で働いた政治コメンテーターの黒人女性。タイトルの「白人政治の終焉」は、非白人人口の増加により、白人だけの支持を集めようとする「白人アイデンティティ政治」には限界が来ており、民主党・リベラルが今後選挙に勝つためには多様なアイデンティティを代表しなくてはいけない、という意味。これは、2016年大統領選挙以降サンダース支持者を中心に広まった「民主党はマイノリティの問題にこだわりすぎた、白人労働者層を無視したせいでトランプに負けた」という主張に対する反論。AOCらが初当選した2018年の民主党の勝利からもわかるように、多様性を押し出して勝つことはできると。

民主党は50年以上前から(公民権法を成立させてからは)過半数の白人からは支持されていない。それでも民主党が戦えるのは黒人を中心とした非白人の支持があるからで、なかでも黒人女性が困難を乗り越え投票してきたおかげだと著者。しかし民主党指導層の多数を占める白人男性たちは自分たち黒人女性の話を聞こうとしない。バイデンやサンダースやブルームバーグやブーティジェッジが、政策的には正しいことを言っていたとしても、人種問題について失言したりきちんとした回答をすることができないのは、周囲に黒人スタッフを置かなかったり信用していなかったりするせい。

著者はまた、クリントンが2016年選挙で黒人女性のイベントに参加する際、彼女をはじめとする黒人女性スタッフに相談し、スピーチを書いてもらった例をあげつつ、その一度のパフォーマンスはうまくいったが、それだけではコミュニティの信頼は勝ち取れなかったと書いている。スタッフとしてだけでなく、候補本人としても、そしてさまざまな支援組織のトップにも、より多様な人たちが登場する必要がある。それにしても共和党は今後ほんとにどうするつもりなんだろうね…