Whitney Goodman著「Toxic Positivity: Keeping It Real in a World Obsessed with Being Happy」

Toxic Positivity

Whitney Goodman著「Toxic Positivity: Keeping It Real in a World Obsessed with Being Happy

心の支えになるのではなく現実逃避や自己嫌悪、犠牲者非難に繋がる「有害なポジティヴ思考」を批判し、それに替わる考え方を推奨する本。著者はポジティヴ思考に苦しめられた多くの人を診てきたカウンセラーで、インスタグラムでも人気。有害なポジティヴ思考への批判はBarbara Ehrenreich著「Bright-Sided: How Positive Thinking Is Undermining America」(邦訳「ポジティブ病の国、アメリカ」)ほか多数出版されているけど、社会批評としてではなく実際のカウンセリングの現場から個人の苦しみに焦点を当てた内容がいい。また、どういうテーマにおいてポジティヴ思考が特に有害になりやすいのか、有害なポジティヴ思考に陥らない形で希望を語るにはどうすればいいのかといった内容もあり、実用的。

著者がカウンセリング現場の経験を元にした考えは、わたしが性暴力サバイバー支援の現場で抱くようになった考えに比べると、やはりというか当たり前なんだけど、わたしよりポジティヴ寄り。ポジティヴ思考が行き過ぎると、ポジティヴになりきれない自分に否定的になってしまうのだけれど、かといって自分を肯定するためにポジティヴを避けすぎても成長が妨げられて良くない、というのはカウンセラーの立場としては正しいと思うけど、サバイバー支援においてはとにかくサバイバーの肯定が重要なので優先順位が違う的な。でも長期的に癒やされ快復するには、段階を置いて少しずつポジティヴに寄っていくのも必要なのかもしれないなあと考えさせられた。