Wesley Lowery著「They Can’t Kill Us All: Ferguson, Baltimore, and a New Era in America’s Racial Justice Movement」

They Can't Kill Us All

Wesley Lowery著「They Can’t Kill Us All: Ferguson, Baltimore, and a New Era in America’s Racial Justice Movement

オバマ政権の最後の2年のあいだに、ファーガソンでのマイケル・ブラウン氏殺害をはじめとして各地で繰り返し起きた警察官による黒人市民の殺害とそれらに対する大規模な抗議運動の盛り上がりを追った本。わたしが普段読んでいるのはここ1年以内に出版されたばかりの本が多いのだけど、トランプ以前のBLM運動をちゃんと振り返りたくて読みなおした。

著者はワシントン・ポストの黒人記者で、各地で立ち上がった若い活動家たちに真剣に向き合い、ジャーナリストとして一定の距離を取りつつも、信頼関係を築いている様子がいい。活動家に肩入れしすぎた表現を注意されたり、逆にある市の警察の宣伝を真に受けすぎて警察の改革を好意的に書いた結果活動家から反発されたりと、失敗話も。黒人記者として、繰り返される警察による黒人市民の殺害を追い続けることは、精神的にもきつそう。ファーガソンではマクドナルドで本社に送る記事を書いていると突然警察に逮捕されたことも(当時報道され大きな騒ぎになった)。BLMについて知るためには必読。