Victoria Law著「“Prisons Make Us Safer” and 20 Other Myths About Mass Incarceration」
刑罰廃止論の代表的な論者による新著。「刑務所は社会の安全のために必要」といった（著者の考えでは）間違った「神話」に対する反論をまとめた本、という入門書的なポジションでありながら、刑務所の民営化や受刑者の労働搾取に注目した「刑務所の本質は民間企業の利益追求にある」という主張や、「麻薬所持など他人に対する加害行為をしていない受刑者を釈放すべきだ」という主張など、リベラル・左派に多い主張にもきっちり反論していて、入門書的な体裁でありながら遠慮やごまかしがない。ただインパクトとしては去年Maya Schenwarとの共著で出した「Prison by Any Other Name: The Harmful Consequences of Popular Reforms」の方がすごい。どっちも読んでほしいけど、どちらか１冊ならそっち。
