Valerie Fridland著「Like, Literally, Dude: Arguing for the Good in Bad English」
社会言語学者の著者が世間が「正しい英語」について抱く間違った考えを訂正したり最近の社会言語学の研究を紹介する本。
英文法ナードなわたしにとっては既視感のある内容(「like」を会話中にいろいろな形で使いまくるのは最近の若者だけじゃないとか、「文字通り」を意味する「literally」を比喩の意味で使うのは昔の文豪もやってたとか)もあるけど、会話中に「〜ing」という単語を使うときにgを発音するかどうかがどう文脈に依存するかとか、日本語だの「あのー」に対応する「um」とか「uh」にはそれぞれ違う機能があるなど実社会の観察を元とした研究などおもしろい話がたくさん。タイトルで「like」「literary」に並んで採用されている「dude」についての章も歴史とジェンダー、階級の話が絡んでいておもしろい。まあ一般の人にとって言語についてのこういう話がおもしろいのかどうか自信ないけど、わたしは好き。最近物議を醸しているノンバイナリーな単数三人称の代名詞「they」についても歴史をふまえた丁寧な説明。