Tara Dawson McGuinness & Hana Schank著「Power to the Public: The Promise of Public Interest Technology」

Power to the Public

Tara Dawson McGuinness & Hana Schank著「Power to the Public: The Promise of Public Interest Technology」 ホームレスや自殺など社会的な問題を解決したり、行政や非営利団体などがどのようにデータとテクノロジーを使っているかという報告。福祉や失業保険の申請のためのシステムを電子化したところかえって手間が増えたりエラーが起きてクラッシュしたり、アルゴリズムの欠陥により大きな弊害を生んだ例も多数。デザイン・データ・デリバリーのサイクルを短く回して細かく改善できるアジャイル開発を政策に取り入れるべきだとも。

福祉の申請などにおいては、行政が非効率なのはシステムの欠陥ではなく、(福祉受給を困難にしようとする)意図されたデザインである可能性もあると思うのだけれど、そうするとデザイン以前の問題として目的の透明性も必要。ホームレス問題の解決を目指す取り組みで、シェルター、依存症治療、精神医療、法的支援などそれぞれ別に発達したシステム間でデータ共有したほうが個々のホームレスの人の状況に応じた効果的な支援ができる、というのはそのとおりだとおもうのだけど、個人情報をそこまで連結して運用する仕組みを信用できるのかって話。

政府や非営利団体がどのような問題に取り組むにしても、データの専門家をチームに加えるべきだ、というのはまあ納得できるけど、「この本を大学の授業で採用すべきだ」と文中でセルフレコメンドする本ってはじめて見たわw