Richard H. Thaler & Cass R. Sunstein著「Nudge: The Final Edition」
日本でも出版されている「実践 行動経済学」 の新版。というかファイナル版。ファイナルと名付けたのは、二度と新しい版を作らないというコミットメントを示すためらしい。大筋は変わらないのだけど、最新技術の例として挙げられていたiPodが削除されたり、ソーシャルメディアの話が出たりという細部がアップデートされてたり、旧版では同性婚について当面実現はしないだろうという前提でこうしたらどうか？的な提案をしていたので、そのあたりは時代の流れを感じる。
新版で良くなったところは、住宅ローンとクレジットカードの違いとそれに基づいたそれぞれ必要な選択肢の設計や、臓器移植についての議論がより丁寧になった感じがする。あと、これまでいろいろなところでナッジの誤用を見てきたのだけれど、ナッジと一件類似していながら反対の性質を持つ現象をスラッジと名付けて解説しているのは良い。てかサンスティーンは「Sludge: What Stops Us from Getting Things Done and What to Do about It」 という本まで出してる。サンスティーンせんせーは短い本を量産しすぎ。
