Paul Richardson著「Myths of Geography: Eight Ways We Get the World Wrong」
タイトルは「地理の神話」。以前北海道大学で教えたこともあるらしい地理学者の著者が、世界各地の地理を例にあげながら地理学の不確かさや地政学的決定論を批判する本。
大陸という地理の基本的な概念が歴史的に変遷してきており未だに決着がついていない、という話からはじまり、国境や国家、経済成長などを疑うとともに、トランプが推進する(していた)「国境の壁」の不毛性や、ロシアは常に不凍港を求めて周辺国を侵略するという地政学的決定論および中国の一帯一路政策危険論への反論など、おもしろ雑学から国際政治のトレンドまで扱ったうえで、最後はアフリカに対する偏見への批判でまとめている。