Mary Ziegler著「Abortion and the Law in America: Roe v. Wade to the Present」

Abortion and the Law in America

Mary Ziegler著「Abortion and the Law in America: Roe v. Wade to the Present

トランプ政権がたった4年のうちに3人もの保守系最高裁判事を任命し、妊娠中絶を認めた1973年判決が今度こそヤバいという状況で書かれた、過去50年に渡るプロライフ・プロチョイス各運動の言説と法的論理のおさらい。わたしがリアルタイムでフォローしてきたのはクリントン政権以降なので、それ以前の話を学べたのは良かった。反対派も賛成派もそれぞれ絶対的な権利に根ざした主張と社会的な利益やコスト計算、科学的「事実」に即した議論がそれぞれあるけど、後者なら歩み寄れるかと言うとそうでなかったり。妊娠中絶は胎児だけでなく中絶手術を受ける女性に対する人権侵害なのだ、というプロライフ派の意見があり、女性を加害者・殺人者とする立場と対立していたりするけど、その様子はわたしも中絶反対派の集会を見学したとき見かけた。