Darnell Lamont Walker著「Never Can Say Goodbye: The Life of a Death Doula and the Art of a Peaceful End」

Never Can Say Goodbye

Darnell Lamont Walker著「Never Can Say Goodbye: The Life of a Death Doula and the Art of a Peaceful End

デス・ドゥーラとして働く黒人男性が自身の経験と死に向き合う考えを綴った本。デス・ドゥーラは出産に付き添い精神的なサポートを提供するドゥーラと同様に、死期を迎えた人やその家族らに寄り添い精神的に支える非医療的な職種で、ここ20年ほどのあいだに広まりつつある。

本書は多くの章を通して著者がデス・ドゥーラとして接してきた人たちや、友人やその家族たち、たまたま出会った人たちとの関わりととおして、死が生につきものの当たり前の現象であること、必要以上に恐れたり隠したりせず普段から向き合い、また子どもたちに対しても誤魔化したりせず当たり前のこととして話題にすることで、いざというとき慌てず向き合い限られた生を尊重することができるものであることなどを指し示す。一部の地域で合法化されている、医療的な自殺幇助をめぐる話なども。

黒人男性である著者が、死期を近くしたほかの黒人男性から依頼されたことがない、という箇所はとくに、黒人男性がどれだけほかの黒人男性に対してタフさを示し続けなければいけない、弱みを見せることができない状況に置かれているかという事実を示していて痛々しい。同じ黒人男性のほうが話しやすいだろうと家族が著者に依頼しても、余命わずかな本人が語ろうとしないのであればどうしようもない。しかし著者はそれを含めて黒人男性が生きるなかで積み重ねてきた痛みに寄り添い、少しでもかれらの気持ちを救おうとする。

デス・ドゥーラって、すごい仕事。家族や友人に囲まれて幸せに逝きたいと思っていて、運よくそうした人たちに恵まれていたとしても、かれらのことが大切だからこそ隠さなくちゃいけない思いも押さえつけなければいけない気持ちもあるだろうけれど、デス・ドゥーラになら明かすことができるし、ほかの誰にも見せられない弱さを見せることもできるかもしれない。その時が来たときのために、デス・ドゥーラという選択肢があることを覚えておこうとおもった。