Cynthia Enloe著「Twelve Feminist Lessons of War」
フェミニスト国際政治学者として1990年代から一線で活躍してきたシンシア・エンローせんせー(主著『バナナ・ビーチ・軍事基地: 国際政治をジェンダーで読み解く』が30年遅れで邦訳出版されてたらしい)の集大成と言える一冊。世界中さまざまな紛争に巻き込まれてきた、あるいは参加してきた女性たちの声から、フェミニストが受け取るべき12の教訓を語る。
女性が経験する戦争は男性が経験する戦争とは異なる、戦争による傷はジェンダー化されている、戦時性暴力を可視化し抵抗しなければいけない、「戦後」は何世代も続くことがある、軍事化は平時にはじまっている、などさまざまな、文字だけ読めば当たり前に思えるけれど多様な地域や文化の女性たちの具体的な証言によって重みを増すさまざまな教訓を並べる。2023年に出版された本書はロシアによるウクライナ侵攻に特に関心が向けられているが、誰にとっても無縁ではないこれらの教訓を受け取っていきたい。