Craig Whitlock著「The Afghanistan Papers: A Secret History of the War」

The Afghanistan Papers

Craig Whitlock著「The Afghanistan Papers: A Secret History of the War

先月、20年間に渡る占領を終えたアメリカのアフガニスタン戦争についてのワシントンポスト記者の本。主なソースとなっているのは、米軍などが米軍や情報機関の関係者を対象に行った聴取で、もともと公開を予定していなかったからアフガニスタンでの作戦に関わったアメリカ側当事者たちが20年に渡る失敗の歴史を率直に語っている。ワシントンポストはこれらの文書の公開を求めて何度も裁判を起こし、2019年の報道で数々のジャーナリズム賞を受賞。この本はその後のバイデンによる完全撤退決定までカバーしている。

まあその証言を聴くかぎり、アメリカアホすぎるやろ!って言いたくなるくらい失敗しまくりで(子どもの人気を取ろうとサッカーボールにアフガニスタン国旗とコーランの言葉を印刷して配ったところ、コーランを足蹴にしろとはけしからん!と猛反発受けたり、アフガニスタンに派遣される米兵がオリエンテーションで現地語ではないアラブ語の挨拶を教わったり無茶苦茶)、勝つ気本当にあるのかよと。GHQがウォーギルトなんちゃらで今に至るまで日本人を洗脳してるとか絶対ウソだろw

タリバンを倒したと早合点して続けざまにイラクに侵攻しそっちに労力を全部つぎ込んだブッシュ、18ヶ月後に撤退すると公に発表して自国を追い込んだ挙げ句、短期的に成果を出そうと多額のお金を資金をぶち込んで現地の腐敗を悪化させたオバマ、自分の好みに合わない情報を上げてきた部下を攻撃し排除した結果、現実から完全に目をそらしてしまったトランプと、三代続いて失敗続き。そして非公開の聴取となったらこんなにはっきりと米国の失敗を指摘できる関係者たち、もっと早く国民に知らせてくれよ!と。

結局、アメリカはアフガニスタンもタリバンもアルカイダも味方につけた反タリバン勢力も一切わけがわからないまま侵攻し、現地の協力者たちから学ぼうともせず、目的もわからないままダラダラ戦争を続けていたってこと。超党派で調査委員会を設置して(誰の責任も問わない、と約束してもいいから)この壮大な失敗について詳細を明らかにして記録に残してほしいところ。だけどもちろん、いまの政治にそれはまったく期待できないので、せめてこの本を多くのアメリカ人に読んでほしい。あと、オバマとブッシュに自分たちの失敗についてはっきり語ってほしいなあ。