Bernie Sanders著「It’s OK to Be Angry About Capitalism」

It's OK to Be Angry About Capitalism

Bernie Sanders著「It’s OK to Be Angry About Capitalism

バーニー・サンダース上院議員が二度の大統領選挙への挑戦を振り返りながら、資本主義を批判しまくる本。いやわたしバーニーブロが苦手であんまりバーニー支持者の集団に近づきたくないんだけど、やっぱこのおじいちゃんすごいわ。2020年の大統領選挙では政策的に近いエリザベス・ウォレン上院議員とどちらを支持するか、みたいな話がわたしの周囲であったけど、「Not Me, Us」のスローガンのとおり大統領選挙をただの選挙ではなく若い人たちを動かして今後の運動に繋げるための契機にしようと本気で考え、コロナウイルス・パンデミックがはじまると選挙ボランティアたちを相互扶助の活動に動員するなど、社会運動ときちんと繋がっている。

内容はまあ、経済格差や医療、教育、社会保障、民主主義への脅威、その他もろもろについてバーニーがいつも言ってることだよね、という感じで、とくに新しい議論はないけれど、人種差別についてようやくバーニーがちゃんと話せるようになってきたかな、という感じは受けた。かれはたとえばブラック・ライヴズ・マターが盛り上がっているからと時勢に合わせて期待されている言葉を繰り出せるタイプじゃなくて(だから過去にかれがBLMなどについて言及しようとするとぎこちなさが感じられた)自分の中でちゃんと咀嚼して自分のものとしてでないと語れないタイプなんだろうと思うけど、ようやくバーニーらしい言葉で期待されている水準で人種差別について語れるようになったのかも。わたし的にはまだ不満も残るのだけれど、あの年齢でまだ若い人から学んで変われるのってすごくない?

バイデン就任式典でのバーニーの手袋ミームについても言及してる。かれはああいうバズりは好きではないと思うんだけど、それに便乗してあの写真を印刷したシャツなどを売ってヴァーモント州の貧困層支援のための団体に売り上げを寄付したのは良かった。できたら表紙もあの写真にしてほしかったけど、まあバーニーはそういうことしないよね。かれの側近が書いたAri Rabin-Havt著「The Fighting Soul: On the Road with Bernie Sanders」と一緒に読んで。