Andrea Long Chu著「Authority: Essays」

Authority

Andrea Long Chu著「Authority: Essays

「Everyone is female」にはじまる奇々怪々な本「Females」でデビューして以来、ニューヨーク・マガジン誌で批評家として実績を積み2023年にはピュリツァー賞まで受賞した著者の、過去数年の批評を集めた本。

文学や映画、ミュージカル、ウェブコミック、そして社会運動やジャーナリズムなどさまざまなジャンルとそれらと批評の間の関係について縦横無尽に論じつつ、アジア系クィア&トランス女性としてのリアルを語ったり、知的に怠慢なアート業界や文芸業界へのキレッキレの批判など、収録された文章のどれをとってもエキサイティングで刺激的。著者がピュリツァー賞にふさわしい一流の批評家であることが分かる。「Female」に続いてヴァレリー・ソラナスについて論じた(そして著者が批評家として注目を集めるきっかけとなった)「On Liking Women」や、アジア系アメリカ人と白人のミックスの人たちによる・人たちについての文学について扱った「The Mixed Metaphor」、オクタヴィア・バトラーの間違った受容を指摘する「You Must Decide」などが特に好き。でも全部いいから全部読んで。いや読め。