Kurt Wagner著「Battle for the Bird: Jack Dorsey, Elon Musk, and the $44 Billion Fight for Twitter’s Soul」

Battle for the Bird

Kurt Wagner著「Battle for the Bird: Jack Dorsey, Elon Musk, and the $44 Billion Fight for Twitter’s Soul

一週間先に発売されたZoë Schiffer著「Extremely Hardcore: Inside Elon Musk’s Twitter」に続いて出版された、イーロン・マスクによるツイッター社買収についての本。先を越させてしまった出版社の担当者が叱られていないか心配。

ただ、マスクがツイッター買収を仄めかしだして以降の経緯を扱った「Extremely Hardcore」に対して、こちらはツイッター創業時に遡り、創業者のジャック・ドーシーがどういう人物で何を考えていたのか、といった部分にフォーカスが当てられていて、どちらか一方だけ読めば他方はいらないという関係にはない。マスク以降からだけ見ていたら、創業者なのにマスクによる買収を後押しして自分が作り上げた会社やサービスをあんなにグチャグチャにさせるドーシーって何考えてるんだよ、と疑問になるけど、この本はそれにちゃんと答えてくれる。ただまあここまでグチャグチャになるとはドーシー思っていたのかどうか。

答えがわかると言っても、結局「ドーシーもめっちゃやばい人だった」というだけの話ではあるんだけど、わけのわからないやばい人じゃなくて筋金入りのやばい人なんだ、とわかるだけでも納得がいく。ただブロックチェインでアフリカを救おうとするのはたぶんそこら中に迷惑を巻き起こすからやめたほうがいいと思う。言論の自由を萎縮させないよう配慮しつつヘイトコンテンツやフェイク情報の影響をどう抑えるかというツイッターのエンジニアや法律家たちの必死の試行錯誤がトランプによってぶち壊しにされたり悪意のないミスが保守メディアによって攻撃の材料にされたりするのは気の毒だけど、ツイッターの成長自体がトランプやマスクの大暴れのおかげでもあるという話とか、ツイッターの教訓を元にしてドーシーが作ったブルースカイの目的や考え方とかにも触れられていて、ツイッターがどうしてああなってしまったのかを理解するために参考になる。