C. Riley Snorton & Darius Bost著「A Black Queer History of the United States」

A Black Queer History of the United States

C. Riley Snorton & Darius Bost著「A Black Queer History of the United States

アメリカの黒人クィアたちの歴史についての本。「Black on Both Sides: A Racial History of Trans Identity」のC. Riley Nortonと「Evidence of Being: The Black Gay Cultural Renaissance and the Politics of Violence」のDarius Bostというブラック・クィア・スタディーズのトップが組んで書いている。

本書はIyon Woo著「Master Slave Husband Wife: An Epic Journey from Slavery to Freedom」でも取り上げられている事例など植民地主義と奴隷制の時代における人種とクィアネスやジェンダーにまつわる話題にはじまり、奴隷解放後のアメリカでエンターテイナーやセックスワーカーとして活動した黒人トランス女性(と現代なら表現されるような存在)たち、ドラァグ・カルチャーやボール文化の誕生と発展を経て、黒人公民権運動におけるクィアたちの役割、ブラック・フェミニズムにおける黒人レズビアンたちの活躍、HIV/AIDS危機から現代まで歴史を追って記述される。前半の部分はSnortonの「Black on Both Sides」のほうが詳しく理解が進むが、後半のとくにブラック・フェミニズムの部分などは著者らの過去の著作では十分に扱われていなかったので嬉しい。

「〜のアメリカ史」というタイトルの本はおそらく教科書として売りやすいのだと思うけれどありとあらゆる属性について多数出版されており、中にはいい加減なものもある感想を持っているのだけれど、これは読みやすい分量でありながらうまくまとめられていていい感じ。まあわたしはSnortonを信頼しているので、あんまりいい加減なものをかれが自分の名前で出すとは思ってなかったけど。教科書的に使われる入門書としては文句ない内容。