Sarah Costello & Kayla Kaszyca著「Sounds Fake but Okay: An Asexual and Aromantic Perspective on Love, Relationships, Sex, and Pretty Much Anything Else」
アセクシュアリティとアロマンティシズムをテーマとした人気ポッドキャストのホスト二人が、Aスペクトラムの人たちと社会、友人、性的あるいは恋愛的パートナー、セックス、家族、ジェンダー、そして自分自身との関係について交互に軽快に語る2023年の本。
アセクシュアルやアロマンティックな人たちだってセックスしたりパートナーを作ったりすることはある、という話で、自分はボウリングが特に好きではないし自分からボウリングしようとは思わないけど、友だちに誘われたらボウリングすることもあるよね、ってたとえがなんだかツボにハマったけど、真面目な話をするとやっぱりアセクシュアリティとジェンダーの関係は重要。性的欲望を持つこと自体否定的に扱われる女性と性的欲望を常に発揮しているものだと見なされる男性では同じアセクシュアルでも全然異なる経験をしているし、事実男性がアセクシュアルとしてカミングアウトすることは女性に比べてハードルが高い。しかしアセクシュアルであることが周知されたら、周囲の女性やクィアたちにとって安心できる相手としていい関係が築けるよ!というのは分かるんだけど、そういうパターンで加害行為に及んだ実例を知ってるからやっぱり不安。
あとジェンダーとの関係で言うと、保守フェミニストのLouise Perryが言ってた、「デミセクシュアルってほとんどの女性にとってはスタンダードでしょ、男性に典型的な無差別的な性欲が標準だというわけじゃないのに、なんでわざわざデミなんて呼ばれなくちゃいけないの?」という指摘はPerryの主張の多くに賛同できないなかストレートに納得させられたのだけれど、そのあたりについて答えてほしかった気がする。
ま、基本、ポッドキャスターがポッドキャストのノリで書いたテンポのいい本なので、軽い気持ちで読んで。各章の最後にはそれぞれの章に関連するポッドキャストの回へのリンクがQRコードで掲載されているので興味があればさらにそちらへ。