Dennis Duncan著「Index, A History of the: A Bookish Adventure」
本の末尾に掲載されている「索引」の歴史についての本。ってなんだよそれって思うかもだけど、索引風のタイトル「Index, A History of the」を含めて本好きなら無視できない内容。いまでは学術的な本などでは索引がついているのは当たり前のこととなっているけど、これまた当たり前のことながら、索引はある特定の時代に発明されたシステム。それが成り立つまでには本自体の発明から活版印刷、さらにはアルファベット順という概念の発明を必要とした。適切な索引は本の利便性を一気に向上させるので、索引の制作は専門性のある職業にもなる。また、索引は本をはじめから最後までじっくり読む慣習を破壊し、人々を愚かにするという批判もあった。
現代では索引制作の自動化や、索引ではなくキーワード検索を使って目当ての記述を見つける方法も登場しているが、同時に検索エンジンという形で「索引」に触れない日はないようになっている。検索エンジンで特定のキーワードを検索するということは、ワールドワイドウェブの総体を直接調べるのではなく、コンピュータが作成したワールドワイドウェブの「索引」を検索しているからだ。と同時に、最近の若者は検索エンジンだけで物事を知った気になり、図書館でちゃんとした文献を調べるという労力を払わなくなった、人々が愚かになっている、という、いつか聞いたような苦情も。