Dana L. Church著「The Honey Trap: How the Good Intentions of Urban Beekeepers Risk Ecological Disaster」
ミツバチの危機とそれによる農業への悪影響が広く報道されるなか、それなら庭でミツバチを飼ってついでに蜂蜜ももらっちゃおうと多くの人が考えて巣箱を設置した結果、ハチの多様性減少、花をめぐる競争激化とそれによる在来種の駆逐などさまざまな問題を巻き起こしてしまっている現状を告発する本。
ミツバチが減少しており農業に影響が出ている、という報道は事実なのだけれど、それが起きている原因は気候変動や環境破壊によってハチの生存圏が変化してきたことや、それに伴う外来種の流入などであり、理由もなくミツバチがいなくなっているわけでもないし、ミツバチが滅亡しかけているわけでもない。ところが多くの人たちが短絡的に自宅の庭などにミツバチの巣箱を設置した結果、多様性の減少をさらに後押ししてしまっていることを本書は指摘する。さまざまなハチがそれぞれ生き残るために異なる進化を遂げてきた話や、生態系の複雑さや絶妙なバランスのあり方など、とてもおもしろいとともに、安易に素人が手を出しちゃいけないということも分かった。
ところでいま鳥インフルエンザの影響で鶏卵の生産量が激減していて、おかげで卵の値段が以前の何倍にも高騰していたり、早い時間に店頭から売り切れてしまっていたりするのだけれど、「卵を安定的に食べたいから庭で鶏を飼う」と言い出す人が結構いて焦る。鳥インフルがやばいんだってわからない?人間や猫への感染もやばいことになってるんですけど?