Jelani Cobb著「Three or More Is a Riot: Notes on How We Got Here: 2012-2025」

Three or More Is a Riot

Jelani Cobb著「Three or More Is a Riot: Notes on How We Got Here: 2012-2025

著名なコロンビア大学ジャーナリズム大学院の校長をつとめ、ニューヨーカー誌に人種問題を中心に多数の記事を寄稿する著者の著述集。黒人少年トレイヴォン・マーティン氏が自警団に射殺された2012年から、トランプが二度目に大統領に就任しDEI廃止やメディアや学界への攻撃を強めた2025年までの記事が50本以上、その時代背景や追記とともにまとめられている。

10年以上に及ぶ期間で書かれた雑誌記事を集めたものだけれど、ブラック・ライヴズ・マター運動の誕生からそれに対する最悪のバックラッシュまでの著者が目撃した歴史とともに、黒人の作家やアーティスト、活動家、政治家らについての詳細な伝記や訃報記事、白人至上主義者による銃乱射事件やトランプ政権とそれへの抵抗、黒人映画やヒップホップへの批評など、それぞれが読み応えがありまったく古く感じない。白人女性が黒人のふりをして活動していた、すなわち人種というフィクションについてのフィクションを重ねたレイチェル・ドレザルの事件について、彼女の行為のどこがどう許されないのかきちんと論じた文章や、批判的人種理論を生み出したデリック・ベルについての記事やトランス差別的なコメディが批判されたデイヴ・シャペルについての論評などはとくに著者の分析に考えさせられた。著者の出身でもあり、かつて黒人エリートを育成するとされていた公立学校が業績停滞により閉校させられた件についての記事は、著者の痛みが伝わってくる。

タイトルは「3人以上の黒人が集まることは暴動とみなす」という奴隷制時代の法から来ているけど、50本を超える記事が集まった本書は暴動どころではない力強さがある。500ページ近くある長い本だけれど、無駄なページがほとんどないし、もともと雑誌向けの記事だけあって読みやすいのでお勧め。