Edward McClelland著「Midnight in Vehicle City: General Motors, Flint, and the Strike that Created the Middle Class」

Midnight in Vehicle City

Edward McClelland著「Midnight in Vehicle City: General Motors, Flint, and the Strike that Created the Middle Class

ミシガン州フリントのGM工場で1936-37年に起きた労働者による占拠・ストライキ運動についての本。このストライキは、最近読んだばかりの、10のストライキを通して書かれたアメリカ史の本にも登場してた。

当時のGMの影響力は強大だったけど、ほかの工場で働く労働者たちが同調したりFDR政権とニューディーラーのミシガン州知事が間を取り持つことで勝利。工場を占拠して立て籠もった労働者の妻たちが中心となって作った女性たちが、食事や着替えを差し入れするだけでなく、女性緊急分隊を作ってベレー帽を被り、ストッキングに重いものを入れて武器にして警察に立ち向かったりとか、史上初の女性閣僚としてFDR政権に加わった(つまり同時に非常事態が起きたときに大統領の地位を継ぐ可能性がある史上初の女性になった)フランシス・パーキンス労働長官がGM経営陣に労組との交渉をしろと圧力をかけたり、参政権を得て約10年しかたっていない時期なのに女性たちがカッコよかった。

当時はもちろん女性差別や人種差別がいまよりずっと深刻だったし、経営者側はそれらの分断を利用しようとするものだけど(労組に関わっているうち黒人だけ懲罰したり、労働者たちの妻を戸別訪問して「労働者たちは占拠した工場に売春婦を呼んでお祭り騒ぎしている」と彼女たちに嘘をついたり)、運動が成功した事例をみると、ちゃんとそうした分断に立ち向かい、共通の利益のために協力できた、というのが見て取れる。先に紹介した「Ten Strikes」でもそういうパターンが繰り返し出てくる。